2003年6月30日(月) 〜 2003年7月5日(土)

石灰沈着性腱板炎

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【1日目】 − 2003年6月30日(月)


   先週の水曜あたりから、なんかちょっと左腕が痛い……と感じるようになった。常に
  痛いわけじゃなくて、会社で健康体操をした時だとか、左手でモノを持ち上げるために
  少しだけ腕をひねった時だとか、とにかく日常の何気ない動きの中で「あれ?」と思う
  ようなことが続けて起こるようになったのである。

   痛いのは、左上腕の外側である。ちょうど力こぶの反対側、同世代の方なら小学校で
  射たれたBCGの跡あたり……と言えば通じるだろうか? 土曜の夜に、ベッドの中で
  左腕をさすっていたら、ちょうどピンポイントで「ここじゃ〜!」という部分が判った
  ため、本能的にそこらを集中的に揉んだのがいけなかったようだ(^_^;)。今朝になって
  その部分がズキズキ痛むことにようやく気付いてしまったのである。

   これって、ひょっとして「四十肩」というヤツじゃなかろうか?(^_^;) Google で
  調べてみたら、どうもその線が濃厚である(^_^;)。正式名称は「肩関節周囲炎」という
  病気らしく、要するに運動不足のまま歳を取ると肩の筋肉の付け根に炎症が起きて痛む
  症状のようである。ひどくなると腕が水平より上に上がらなくなるそうだが、私の場合
  まだそれほど悲惨な状況ではない。無理をすれば(無理をしなくても!)左腕はなんとか
  まっすぐ上まで伸ばすことも出来る。しかし、じっとしているだけでも、時折ズキズキ
  痛みを感じることもあって、このあとどういう方向に症状が進んで行くのか? それを
  考えると少々不安にならざるを得ない状況ではある。

   フナフナフナ〜、である(^_^;)。4月に転勤して新しい職場にもようやく馴れてきて
  これを機会に「エレベータは使うまいぞ」と決心して毎日それを励行し、先月の胆石の
  発作以降は「バカ喰い」も厳に慎むようになり、さらにその上昼食後は毎日40分ほど
  歩くことを自らに課してきた私なのであった。その甲斐もあって、最近など久し振りに
  会う人会う人「あれ?お前ちょっと痩せた?」とか「戸田さん少し締まりましたね?」
  とか、そういう嬉しいことを言って下さる人々もやや増えてきてほのかに嬉しく思って
  いたところなのに、嗚呼、神様仏様、そんな私の次の試練は「四十肩」ですか?(^_^;)

   もう、わしの身体はボロボロじゃなぁ(^_^;)。確か本厄年は明けたはずだが、これも
  己自身の常日頃の不摂生が原因だったということになると、誰を責めることなど出来ぬ
  わけである。我ながら情けない限りだが、ここは辛抱して1日も早い回復を目指さねば
  ならぬ。Webで調べたら、症状が急性の場合は患部を冷やせとあり、反対に慢性なら
  むしろ患部は暖めよ、とある。私の場合、急性なのか慢性なのか、自分では良く判らん
  のが困ったところである。とりあえず昼間は湿布薬を貼り、夜は風呂でゆっくり患部を
  揉みほぐしておいた。この先どうなるか?は、神のみぞ知る……というわけだ(^_^;)。

【2日目】 − 2003年7月1日(火)


   朝起きたら、左腕が鉛の様に重かった。上腕部全体がパンパンに腫れていて、うまく
  腕を上げることが出来ない。「四十肩って、こんなに早く症状が進行するのかよ?」と
  不思議に思いながらも、Webで調べた「アイロン運動」の真似事をしながら、徐々に
  左腕の緊張を解いていった。

   ようやくなんとか左腕が動くようになって、痛いのは痛いが、まぁこれも我が身から
  出た錆だと思いながらバイクで通勤。運転にはなんの支障もなかったが、会社の駐車場
  ではバイクのスタンドを起こす時に思わず左腕に激痛が走った。

   昼。いつものように会社でバリバリ仕事をするが、左腕はどんどん痛みを増すような
  雰囲気だ。昨日はまっすぐ上に伸ばせた左腕が、今日はどうしても上まで伸ばせない。
  これはやはり「急性期」の方だったのか? 風呂で暖めて揉みほぐしたのは、ひょっと
  すると逆効果だったのかも知れないなぁ(^_^;)。

   夕方。いよいよ左腕の動きが極端に鈍くなってきた。少しでも動かすと途端に激痛が
  走るようになる。それでも頑張って仕事を続けていたが、もうこの頃には左腕だけでは
  手が動かせない状態になってしまう。机の上に乗った左手を動かす時に、右手で左手を
  いったん持ち上げなきゃいけないような有様だ。これって、本当に「四十肩」なのか?
  なんかおかしくね〜か?(^_^;) Webには、四十肩のくせにゴルフをやってるヤツの
  体験談まで載っていたような気もするのだが……。

   コピーをとるため離席した時には、左腕の重みだけで激痛が走ってしまった。左腕に
  まったく力が入らず、ダラリとぶら下げるしかないからだろうか、肩や首すじから顎の
  下までもが突っ張るような感じになっている。マジでヤバい。もはやこうなると、仕事
  する気も自然に失せていってしまう。何かと忙しい月初の1日だったが、残業している
  同僚たちに「すまんな、すまんな(^_^;)」と詫びを入れながら、ドシャ降りの雨の中を
  21時過ぎにタクシーで帰宅。この体調では、とてもバイクなど運転出来るような状況
  では無かった。

   夜中。いよいよ最悪の事態になってきた。左腕が痛くて痛くてベッドに横になること
  すら出来ない。少しでも身体を動かすとそれが左腕の激痛を誘発してしまう。このまま
  死ぬのか? 痛みのため一睡も出来ず、私は一晩中ベッドの上でもがき苦しんでいた。

【3日目】 − 2003年7月2日(水)


   昨夜は、左腕全体の激痛のせいで一睡も出来なかった。

   最悪の状況の中で、朝から会社を休んで整形外科の門を叩く。向かった先は、上司が
  紹介してくれた大道の「胤末(たねすえ)整形外科クリニック」である。私一人では到底
  クルマの運転なんて出来そうにないので、妻の運転で連れて行ってもらった。

   病院では、すぐにレントゲン写真を撮られた。「骨に異常なんてありゃしないさ」と
  私は訝しんだが、先生は写真をひと目見て「原因はこれです」と断定なさった。なんと
  肩の骨のすぐ近く、一番痛いピンスポットに、クッキリと白く骨のようなものが浮いて
  映っているではないか! 「これは筋肉の中に溜まった石灰です」「この石灰のせいで
  激痛が生じるのです」「典型的な石灰沈着性腱板炎ですね」とのこと。
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石灰沈着性腱板炎の図
痛々しい 三角巾の図

   今週月曜から突然我が身を襲った左腕の痛みは、意外なことに「四十肩」などという
  生やさしいものではなかった。なにしろ筋肉に石灰(カルシウム)が溜まるのだ、これは
  れっきとした病気だろうと思う。どうして石灰が溜まるのか?原因はまだ不明らしいが
  あえて言うなら「体質」だそうだ。するとこれは胆石と似たようなモノかしら?(^_^;)

    ● 石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせい けんばんえん)

   病院では肩に注射を射たれて、腕を三角巾で吊されて、痛み止めのクスリを処方して
  もらって帰って来た。「今日1日は安静にしておくように」とのことだったし、痛みは
  依然としてひどいままなので、午後からの出社も諦めざるを得なかった。同僚たちには
  迷惑をかけてしまい、本当に申し訳なかったと思う。

   夜。クスリが効いてきたみたいで、左腕の痛みは嘘のように消えてしまった。まるで
  天国と地獄のような違いである。これなら今夜はゆっくり眠れるだろう。悪夢のような
  昨夜の様子を思い出しながら、私は死んだように眠りについたのである。

【4日目】 − 2003年7月3日(木)


   クスリの効果は絶大だ。朝起きたら、左腕はなんともなかった。腕をグルグルと回す
  ことさえ出来たほどである。本当に悪夢のような出来事だった。地獄を見たような気も
  するなぁ(^_^;)。

   念の為、三角巾で腕を吊して、今朝は汽車で通勤である。おとといの夜に、バイクを
  会社に置いてきたからだ。会社に到着して「ご迷惑をおかけしました」と皆に詫びたら
  三角巾に仰天した皆から質問攻めにあった。こんなこともあろうかと、あらかじめ印刷
  して会社に持って行ったWeb上の解説記事が大変役に立った。

    ● 肩の痛み「五十肩」と類似した病気
    ● 石灰沈着性腱板炎 (1)
    ● 石灰沈着性腱板炎 (2)

   そんなこんなで午前中は大人しくしていたが、昨日は突然休んだため業務が溜まって
  しまっている。仕事にならないので午後からは三角巾も外し、バリバリ溜まった業務を
  精力的に片付けていった。左腕の調子は快調そのもので、一昨日の激痛が信じられない
  ほどである。なんとか残務も片付いて、21時頃にはバイクで帰宅することが出来た。
  朝は三角巾で出勤した男が、帰りはバイクの運転だよ(^_^)。

   いやはや本当に「健康」とは有り難いものである。先々月の胆石と言い、今月の石灰
  沈着性腱板炎と言い、ここんとこ身から出た錆のように災難が続いているが、これだけ
  災難が続くと「健康」の有り難さが身にしみて判るような気がする。今まで判っている
  顔をしていたのが実は真っ赤な嘘であり、私の「思い上がり」だったような気持ちさえ
  芽生えてくるから不思議である。いやはや本当に「健康」とは有り難いものである。

【6日目】 − 2003年7月5日(土)


   午前5時30分。ベッドの中で寝返りを打った途端、左腕にこれまで最大級の激痛が
  走った。思わず「ぐはぁぁっ!」と悲鳴を上げて、ベッドから飛び降りたほどである。
  これはヤバい! どうやらクスリが切れてきたようだ。慌てて書斎に行き、痛み止めの
  クスリを飲む。なんとも悲惨な、休日初日の朝であった(^_^;)。

   3日前、病院から処方してもらったクスリは、消炎鎮痛剤「オステラック錠」という
  クスリだった。1回1錠、1日2回で7日分をもらって来たが、薬局でカネを払う時に
  薬剤師さんから「痛い時には1日2回以上飲んでも良いですよ」と言われたので、私は
  その日を含め2日間、1日3回のペースでこのクスリを飲んできたのである。

   昨日は出勤前の朝7時半に1錠飲み、昼間も飲もうか?と思ったが「いや待て今日は
  もう3日目だし、ここはひとつ夜まで飲まない1日2回のペースを試してみようか」と
  私は思いついたのだ。そのまま昼は飲まずに仕事を続けたが、夕方になって鈍い痛みが
  左腕に戻って来たような気がしたので、その時点(17時頃)で1錠飲んだ。昨夜は寝る
  前に飲もうか?とも思ったが、またもや「結局、今日は2錠飲んでしまったし、ここは
  明日の朝まで我慢してみよう」と考えてそのまま眠りについたのである。

   そのあとが今朝5時30分の激痛である。昨夕から12時間も経っていない。ここで
  今まで飲んだクスリのタイミングを、忘れないうちに書き記しておくことにしよう。

クスリを飲んだタイミングチャート

2日(水)

       11:00  13:30       19:00

3日(木)

    7:30      13:00           21:30

4日(金)

    7:30             17:00

5日(土)

  5:30


   このタイミングチャートを見る限り、どうもこのクスリは「1日2回」ではちょっと
  苦しいクスリのような気がする。3日目の昨日(4日(金))、夕方に飲んだ時の状況から
  愚考するに、1錠の効き目はせいぜい10時間くらいしか保たないのではないか?

   そう考えた私は、昼過ぎに「胤末整形外科クリニック」を訪れ、持参したタイミング
  チャートを先生に見せてみた。先生はあっさり「じゃ、1日3回タイプのクスリを出し
  ましょうか?」と言って、なんと2週間分(42錠!)を処方して下さったのである。

   腕に溜まった石灰(カルシウム)はそのうち体内に吸収されて消えるそうだが、しかし
  別に石灰が消えるまで痛みが続くわけでもないから安心しなさい、とのこと。この調子
  なら、近日中に痛みだけは消えるらしい。とりあえず今だけクスリを飲み続けて、腕が
  動くのなら「どんどん動かした方が良いですよ」ということである。もとより腕の方は
  毎日動かしているから、私も大いに安心したことであった。

   それにしても、あの日以来左腕の激痛が嘘のように消え、まるで天国のような幸せを
  噛みしめていた私だが、この幸せは決して石灰沈着性腱板炎が直ったからでなく、単に
  クスリで痛みを止めていただけである……ということを、文字通り「痛感」させられた
  1日だったと思う。



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